古代文化を踊る
神韻芸術団プリンシパル・ダンサー、陳佳伶へのインタビュー
古の国の、五千年に及ぶ物語を伝えることのできる最善の手段とは? まもなく世界中で披露されていく「中国古典舞踊」でしょう。
神韻芸術団は9年間にわたり、中国の伝統文化の美しさを国際舞台で展開してきました。ニューヨークから台北、シドニーからイスタンブールと、神韻は五大陸100都市以上で上演されてきました。満員御礼となることも多い会場には、ファッションや芸能など多くの業界の著名人の姿も見受けられます。
ニューヨークで小さな非営利団体として始まった神韻が、なぜこれほどの規模へと成長したのでしょうか。成功の秘密は何でしょうか。
答えを探るために、プリンシパル・ダンサーの陳佳伶(チェン・ジャーリン)に話を伺いました。陳は台湾出身で、2007年に神韻に入団。数カ月前、米国新唐人テレビ主催の第6回全世界中国古典舞踊大会で金賞を獲得しました。8回目の神韻ツアーの出発寸前にもかかわらず、快くインタビューに応じてくれました。

問:神韻公演では天上の情景や神々を描写することが多いですね。このような精神性の伝統は中国文化でどのように位置づけられているのですか。
陳:中国はかつて「天帝の国」「神州」として知られていました。中国の神話では、地上で神々と人間が共存する描写が豊富にあります。
最古の伝説には、天地を開闢した盤古(ばんこ)や、土から人類を創造した女媧(じょか)があります。その他にも、火をおこすことや家を建てる技術など、生活に必要な技能を人間に伝えた神々の伝説も残されています。
これらの神々が音楽、舞踊、その他の芸術の豊かな文化を残したと言われています。実際、 言語、服装、医療、建築などに及ぶ伝統文化のあらゆる側面は、神がもたらしたものだと言えるでしょう。古代人は神に導かれる地に住んでいると信じていました。神が創造した生活様式のなかで生活を営んでいたのです。
問:このような信念は現代中国にも受け継がれていますか。
陳:悲しいことに、その限りではありません。60数年前に中国共産党が政権を執って以来、これらの多くが失われました。この後の世代は、中国本土の外で育った私でさえも、本当の意味での文化的な継承なしに成長しました。非常に残念なことです。神韻が設立された主な理由もここにあります。私たちの使命は中国伝統文化を復興させ、世界中の人々と分かち合うことにあります。
問:「文化を復興させる」というのはどういう意味ですか。
陳:伝統文化で最も重要な側面は、道徳の指針と精神文化だと思います。神韻の全てはこれらの理念に基づいています。舞台から一時的な興奮以上のものを感じ取っていただき、心から感動していただけるような中国伝統文化の精神を分かち合うことを願っています。
問:なぜこの芸術形態が適切なのでしょうか。
陳:中国古典舞踊は中国の伝統文化を表現する上で完璧な芸術形態です。中国文明の多くの側面が舞踊に織り込まれているからです。伝統美、礼儀作法、価値観がダンスの中に見いだせます。寛大さや謙虚さ、内剛外柔、円状の動き、流れるような連続性などです。
中国古典舞踊は王朝から王朝へと受け継がれてきました。世界でも最も包括的な舞踊大系に数えられるでしょう。特に表現力に富み、どのような人物像や感情でも、舞踊を通じて自由に表すことができます。
問:中国古典舞踊では、どのように豊かに表現するのですか。
陳:「身韻」「身法」と呼ばれる要素に集約されるでしょう。「身法」は数百にのぼる独自の動作や姿勢を指します。熟練したダンサーは、目線から呼吸の動きまで、自分の身体の隅々までを完璧に融合させる術を心得ています。ストーリー性のあるダンスでは、中国伝統舞踊の独特な演技の要素も発揮されます。
「身韻」はダンスの動作の精神とも言えます。うまく意義付けされていませんが、重要な要素です。私たちが踊る時、表面上の動きだけでなく、この身韻も目でとらえることができます。
中国古典舞踊は、跳躍、回転、宙返り、高難度な空中回転などの幅広い技法を備えます。これらの技法は表現力をさらに豊かにし、舞台のエネルギーレベルをさらに高めます。
問:中国古典舞踊の宙返りは体操競技やアクロバットで見受けるものとは異なりますか。
陳:実は、他の芸術形態で見られる多くの宙返りは、中国古典舞踊を起因としています。1970年代、中国の体操競技がこれらの技法を中国古典舞踊から採用し、国際大会で披露し始めました。世界的な波紋となり、バレエ、体操競技、その他の様々な舞台芸術やスポーツに取り入れられるようになりました。
これらの技法は、私たちは異なる目的で利用しています。ダンスに採りいれる時、技法をこなすことだけが目的ではありません。ストーリーの一部であり、感情を表現する助けとなるのです。
問:世界中で公演されていますね。場所によって反応は異なりますか。
陳:そこが芸術、特に中国古典舞踊の素晴らしさですね。普遍的な言語なのです。さらに舞台背景が映像になっており、実際にその場面にいるような感覚を覚えます。バイリンガルの司会者が、知識のギャップを埋めてくれます。中国の古典文化の舞台ではありますが、誰でもつながりを感じられます。
問:神韻2015ツアーではどのような物語や伝説が扱われるのでしょうか。
陳:毎年、全ての演目が一新されています。内容は「見てのお楽しみ」にしておきます。実際に会場でご覧下さい。